Panasonic DMC-FX1




<コンパクトデジカメにおける手ブレ補正の意義>
 最近のコンパクトデジカメはコストダウンとコンパクト化の為に小型CCDで高画素化しており、一画素辺りの面積が小さくなった為に感度が低下している。 又レンズの小型化による明るさの低下もそれに拍車を掛けている。 画素はバケツの様な物で、バケツが小さくなると信号に対しノイズが多くなり、光の量が多いと飽和し易くなる。これが画素サイズが小さくなる程顕著になる。 ノイズを抑える為に増幅感度が抑えられ現在のコンパクトデジカメの標準はISO50と非常に低い。フィルムカメラの時代には一般的にISO100〜400 位を使用し、写るんですにはISO1000なんてのもある事を考えるといかにも低い。
 感度が低いと必要な光を稼ぐ為シャッター速度が遅くなり、手ブレの発生も多くなる。これが現在のコンパクトデジカメの問題点である。逆に高いと画像を写 す為に必要なシャッター時間も短くて済むので、手ブレや低照度下での撮影に強くなる。

 問題点を解決する方法は1つはCCDの感度を上げてシャッター時間を短くする事である。ただゲインアップしただけではノイズも一緒に増幅してしまうので ノイジーな画像となる。コンパクトデジカメで使っているCCDではISO200でもノイズが目立って来る。そのため、1画素当たりの面積を増やすしか方法 は無く、これは一般的にコンパクト化と相反する。例外としてフジフィルムのハニカムCCDは画素配置を斜めにして同一CCDサイズでも画素面積を大きく取 る様にしたCCDで、この問題を解決している。
 (ハニカムCCDの出始めにフジフィルムはこのメリットを活かさず出力解像度の向上(斜め配列に対し出力時は直行配列なので画素数に対し出力解像度は見 かけ上多くなる)の方をアピールし「水増しでは無いか」と批判を受けた当時は未だ今程画素数が高くなかった為感度の問題 が顕在化していなかったからかもしれない。現在はこのメリットを生かした商品を出しており、低照度下での撮影に評価を受けている)。

 もう一つの方法は手ブレ補正機能によりシャッター時間は長いままでブレを補正する事である。この方式はキヤノン、パナソニック、ミノルタ等で採用されて おり、CCD上の画像のブレを検知してレンズを動かし画像を補正する。今までは10倍ズーム等の手ブレが目立ちやすくて補正の恩恵が大きい機種に採用され ていたが、上記の様なコンパクトデジカメの現状の問題点に対しても有効な機能と思われる。手ブレ補正機能の詳細については以下を参照下さい。
http://panasonic.jp/dc/megaois_science/

<SPEC.>
 と言う訳で、手ブレ補正の付いたコンパクトデジカメを購入した。300万画素、3倍ズーム機のDMC-FX1である。最新機種はより小型で液晶の大きく なったFX5(400万画素)、FX7(500万画素)等があり人気だが未だ出たばかりで高いし、今回オークションで安く出ていたので手ブレ補正に惹かれ 購入してみた。デジカメには珍しいグリーンの機種。結構綺麗な色である。ボディ形状は横長で持ちやすく、初代LUMIX DMC-F7以来の形状である。発 売は'03.11になる。

 電源のオンオフは上部のスライドスイッチで行い、記録、再生や撮影モードの切り替えダイヤルが背面にある。撮影モードはシャッター速度や絞り優先の選択 は無く、AUTOの他に夜景、遠景、ポートレート等のシーンモードのみとなる。
 レンズはLEICA DC-VARIO ELMARITの3倍ズーム。35mm-105mm(35mmフィルム相当)の画角。レンズシャッターが付いている。起動時間は2秒弱で結構早い。逆に終 了時間の方が少し待たされ感がある。
 BODYの厚みは2cm程度だが、液晶画面が後ろに張り出しており手ブレ補正機構の分後ろに張り出した様な感じだ。この点は最近の機種では上手く納めて ある様だ。まあ、そんなに私は気にしない。

 DISPLAYボタンを押す事で、通常表示-ヒストグラム-罫線表示と切り替えられる。本当は全部一編に表示出来ればいいのだが。罫線表示は個人的に重 宝している機能なのだが、これを選ぶとストロボやシャッター速度等の表示も見れないのがちょっと不便。
 それとシャッター速度が1/8より長くならず、夜間室内でノーストロボで撮影するとアンダーな露出となる事がある。恐らく1/8秒より長くなると手ブレ 補正があっても手ブレの確率が高くなるので、そういう設定になっていると思うのだが、もうちょっとなんとかならなかったか… 夜間の室内で撮影してみると ストロボオフだとすぐにF2.8, 1/8secと赤く表示されてしまう(赤は露出不足の意味)。まあこれでもギリギリ問題無く撮影出来る場合が多いがもうちょっと余裕が欲しい。シャッター 速度下限も1/4秒位まで欲しかったと思う。
 あと気になったのが充電器。小型でバッテリーを装着して充電する様になっているのだがコンセント内蔵では無くケーブルを接続する構造なのがコンパクトで なく残念。
 尚マイクとスピーカーが内蔵されており、音声付き静止画、動画の撮影と再生が可能だ。新型では音声再生が出来ないらしいので、この点はこの機種の方が良 い。

<撮影>
 室内で少し撮影してみた。基本的に、1/2.5inch 330万画素CCDの極小画素CCDのコンパクトデジカメで、画素面積は1.8/1inch 330万画素CCDの半分しか無いので暗部ノイズは多いが、撮れる画像は失敗率が少ない。ストロボオフでの撮影で手ブレ補正が 効いている様で輪郭はシャープな画像が撮れる。私の持っている他のレンズの明るい機種(QV-4000やS70は解放F2.0)の方が暗部ノイズは少ない が、手ブレで失敗する確率はこの機種より多い様な気がする。
 こういう普段使いで失敗が少ない、普通に撮れると言うのはフィルムカメラからの乗り換えでは重要な事だと思う。これからのコンパクトデジカメは手ブレ か、実用的な 高感度対応(ISO400〜1000)がトレンドになって来る気がする。

 追 記(1/4)…手ブレ補正有無の効果を掲載します。日中フラッシュ無しの室内撮影、マクロモードで手ブレ補正有無で比較した 例です。これは最も比較し やすかった例で、たとえ手ブレ補正ONでも手ブレ量が多いとブレてしまいますが、確率は減るはずです。縮小画像だとボヤッとしているのとクッキリしている 位の差に見えますが、拡大するとボヤッとしている方は手ブレしているのが判ります。


手ブレ補正の例 左補正無し、右補正有り(mode2) F4.0, 1/8sec

  撮影フォーマットで”音声付き静止画像”と言うのが選べます。これで撮影すると通常サイズの画像に加えてVGAサイズの静止画像に音声の付いたMOV ファイルが生成されます。後でPCで再生するとQUICKTIMEで静止画像を見ながら音声付きで鑑賞が出来ますので、より撮影した時の雰囲気を味わう事 が出来てなかなか良いです。
 今回帰省時の飲み会で使ってみたのですが、画像に加え音声は5秒位ですが会話の内容も記録出来てそのときの雰囲気が残せました。このサイズだと1枚 100KB位 なのでメールに添付してもいいサイズで便利です。問題はMOVファイルがウィンドウズのデフォルトでは再生出来ない事ですね… メディアプレイヤーで再生 出来れば良いんですけどね。 使い勝手も良く、画像成功率も高かったので、お気に入り度がアップしています。